ペルーの気候

リマにはなぜ雨が降らないのか?   

資料:日本人移住100周年記念誌「コノスカモス・エル・ペルー」

A.ペルー海流と海岸地帯の乾燥気候

 ペルーの海流は、その海水が冷たいことが特徴である。これは、ペルー海流(フンボルト海流)の勇昇現象(50m〜100mの深度の冷たい海水が海面近くに上昇してくること)によるものである。この冷たい海水によりペルーの海岸地帯の高度850mまでの空気が冷却される。
 雨は水蒸気を含んだ空気が、上昇するのに従って膨張し、気温が下がって水滴や氷ができる。これらの粒が上昇する空気の力で支えきれなくなり落ちてくるのだが、上空約900mの空気が23〜24度の高温のため、上昇気流が起こらず、積乱雲(入道雲)などの雨雲ができない。そのため、海岸地帯の空気は安定し、あまり動かず、この空気が持っている大量の水蒸気は高度約850mの低空にとどまり、霧や小雨になるだけである。


B.アンデス山脈と海岸地帯の乾燥                 
 アンデス山脈は、アマゾン地域から偏東風によって運ばれてくる水蒸気をたくさん含んだ空気が、その高さのために越えることのできない壁となっている。偏東風はアマゾン地方からアンデス山脈の方向に向かって大量の水蒸気を含んだ空気を押し出してくる。この水蒸気を含んだ空気は、高地セルバまたはパルバと呼ばれる地帯の上空で凝縮し、濃い雲をつくる。従って、高地セルバには常に雲があるだけではなく、ペルーで最も雨の多い地域となっている。ここで水蒸気を失った偏東風は、アンデス山脈を越えて、西に向かって吹くが、乾燥した空気のため、海岸地帯に雨を降らすことはない。

C.南太平洋高気圧

 南太平洋高気圧は、冷たい空気の塊で、南太平洋の海域を時計の針と反対の方向へ渦巻きのように回っている。この冷たい空気は、ペルーの海岸に近づき、空気をいっそう冷却する役割を果たしている。大気中の水蒸気を凝縮し、濃く厚い層雲を形成するのが、海岸地帯の空に毎日見える。このようにして形成された層雲は、太陽光を反射するため、太陽光線が地上に届くことを妨げ、その結果温度を引き下げる。雲の天井の存在によって起こされる大気の温度の逆転のため、海岸地帯の空気は安定したものになるが、このような状態では、空気の塊は上昇せず、水蒸気は低いところに留まるので、雨が降らないのである。